>>14411
В скрипте, не?
; 戦人は、すぐに海へ飛び込みました。
; だから、戦人は間に合いました。
; まだ魔女の姿を見ることが、間に合いました。
; 魔女は戦人を見上げ、薄っすらと笑っていました。
; 言葉は、聞こえません。
; でも、はっきりと聞こえました。
; 言ったろ、戦人。
; 妾は極悪な魔女だから、罪など償わぬと。
; 生きてなど、償わぬと。
; 戦人は必死に、言葉を返しました。
; でも言葉は全て、泡となって吐き出されるだけでした。
; 漆黒の闇へ沈み行く彼女を、戦人は懸命に追いました。
; そして、…………その手が、…………届きました…………。
; 愚かな戦人よ……。
; せっかく島を生きて出られたのに……、そなたはそれを投げ出すのか……。
; ………俺はお前を、離さない。
; 気持ちは嬉しいぞ。
; だが、……妾は幻想の住人。そしてそなたはニンゲン。
; 帰るべき世界が、違うのだ。
; 妾は幻想へ帰る。
; そしてそなたも自分の世界へ帰るがいい。
; どんどん、周りは真っ暗になっていきます。
; 息苦しくなり、頭や耳が痛くなります。
; 戦人の指が、……少しずつ、解けていきます。
; そしてとうとう。
; 二人の指は、……離れました。
; その途端、……戦人は上の、光の世界へ。
; そして魔女は下の、闇の世界へ、……より強い力で引き裂かれていきます。
; 魔女は、戦人の体が眩しい海面へ向かって浮かんでいくのを見て、安堵しました。
; さよなら。戦人。
; ……そして、ありがとう。
; 戦人の体が光の世界へ、点となって消えたのを見届け、……魔女はゆっくりと目を閉じます。
; そして奈落の世界へ落ち行くことに、永遠の孤独の世界に、全てを委ねました。
; その時、………彼女は、感じました。
; そんなはずはないのです。
; だって、戦人はもう、遥かかなたで点になっているのに。
; でも、それは戦人でした。
; 魔女を追ってきた、戦人でした……。
; 逃がすかよ。お前は俺だけの、黄金の魔女だ。
; ………馬鹿戦人……、……馬鹿戦人…………。
; お前が望む奈落になら、俺も一緒に落ちよう。
; そこが虚無の世界ならば、お前と一緒に消えよう。
; だが、消える最後の瞬間まで。
; ………お前は俺のものだ………。
; 二人は互いをきつく抱き締めました。
; ……もう、運命は二人を引き裂こうとはしませんでした。
; 二人は一つとなって、……奈落へと沈んでいきました……。
; そして、何も見えない真っ暗な世界で、……ぽっと、輝きました。
; それは温かな、黄金の輝き。
; それは、黄金の薔薇でした。
; それがふわりと、………純白の無垢な砂の敷き詰められた世界に、辿り着きます。
; そこには、白い砂に半分埋まった、……小さな箱が。
; それは、静かな海の底での安らかに眠る、ベアトリーチェの猫箱。
; その上に、ふわりと、……黄金の薔薇は舞い降りるのでした………。
; それは、深い深い海の底のお話。
; 真っ暗な真っ暗な暗闇の中に。
; ……ほのかに輝く、黄金の薔薇が眠っているという、とてもささやかな物語……。